なぜ決済系スタートアップが増えたのか
とうとう日本でもITを活用した決済サービスが賑やかになってきました。(やったー)
私は現金を持ちたくないタイプなので、Apple Payの登場はほんとうにありがたいです。さらに、Stripeも日本に本格参入しました。わずかなコードを挿入するだけで決済機能を組み込める画期的なサービスです。
この流れに続けと、国内でも決済Fintechの熱が高まっています。例えばこんなプレーヤーがいます。
Coiney(コイニー)- お店の決済をかんたんに。 | Coiney
どんどん決済が簡単になりますね。最高!
さて、では決済Fintechとはどんな仕組みなのでしょうか。なぜ既存の金融機関ではなくスタートアップが活躍しているのか。その実態に迫ってみましょう〜。
決済の仕組みを作ったわけではない
決済サービスは画期的です。例えば、スマホをスワイプするだけで友だちにお金を送ることができます。はたまた、B2Bにおいては入出金漏れを防いでくれそうです。
なんかチョー未来!Fintech万歳!
しかし実際は、全然大したテクノロジーではありません。というのも、実際の作業(資金の移動)は結局、既存の金融機関が行うからです。
図にすると、決済サービスってこんな感じですよね。ユーザーからするとスムーズにお金の移動が行われたように感じます。Fintechスゲー!でも…
実際の金融業務は銀行やカード会社が執り行っています(下記の図を参照)。こうしたサービスは「決済代行業務」といい、すでに存在するビジネススキームです。
Fintechサービスはなんら新しいことをしているわけではないのです。ユーザーに見える表側を”いい感じ”にして、あとはデータのやり取りをするだけ。
お金の立て替えをしたり、些末な手続きをするのは金融機関です。もちろん、金融機関とデータを連携させるのは大変なのですが…そういった話はまた今度。
スキームとしてはただの決済代行なのです。
法律の緩和が決済スタートアップを生んだ
決済サービスはそんなに難しいものではありません。ではなぜ、今までそのようなサービスが登場しなかったのでしょう。一番の理由は法律などの規制にあります。
例えば、ユーザーのお金を預かることは出資法で禁止されています。また、銀行法により、為替は銀行しか行うことができません。
ほかにも、BIS規制にFATCAなどなど、法律以外にも様々なルールが存在します。
金融犯罪などを防ぐためだから仕方ないのですが、お金のやりとりを仲介するというのは、どの国であってもハードルが高いことなのです。
しかし、IT/Webの発展とともに、アプリ内でコインを買わせてそれをユーザー同士で交換させたりするような新しい資金の流れが生まれました。
そこで、金融機関以外のサービス提供者のために成立したのが資金決済法です。
これにより、100万円以下の資金移動は金融機関でなくても行えるようになりました。うおおおお!
*しかしこの法律も厳しいものです。先日、LINEがアプリ内通貨(コインやポイント)に関して供託金を支払っていなかったことで事件になりました。。詳細は今度書きたいと思います。
スタートアップじゃなきゃできない
このような動きが進む中で、金融機関以外の企業であってもお金を扱えるようになった。さらに、金融機関はイノベーションが起こしにくい体質です。Webやアプリの知識がゼロですし、規制に縛られているので、新しい取り組みができません。
(GitHubもMacBookも…Chromeさえないよ!)
同じく、金融系ITサービスプロバイダーも同様に規制や契約により、自由に動けない状況に陥っています。
じゃあ誰が決済サービス作るの?
スタートアップでしょ!
決済サービスを作るならベンチャーの方が圧倒的に有利なのです。実際に、設立間もない会社でも、決済系スタートアップであれば銀行は喜んで出資しているようです。
決済サービスをスタートアップが担うというのは、銀行にとってもスタートアップにとってもWin-Winなのです。
というわけで、スタートアップと金融機関はしょっちゅう交流会をやって、ばんばんタッグを組んでいるわけです。これが表題の「決済系スタートアップが増えた理由」です。。