現役役員が説明する、「なぜあなたは最終面接に落ちるのか」
こんにちは。会社役員でして最終面接を担当しています。物好きなので書類審査や2次面接も協力しています。
ちまたの「採用セミナー」などで言われていることとはまったく異なる観点から、最終面接のポイントをお伝えできればと思います。
志望度なんて見ちゃいない
最終面接のノウハウなどを探すと「志望度が大切だ」といったアドバイスを目にすることがあります。これを鵜呑みにしている人が多く、最終面接では「御社が第一志望です」みたいな発言をよく耳にします。
でもいつもドン引きなんですよね。別に第二志望でもいいですよ、転職ってそういうものですから。言葉だけの「第一志望」なんてまったく響かないです。なので、そういうアピール自体が無駄だと思います。役員レベルの人に対しては。
企業理念・方向性は地雷
「ビジョンが合っている」というアピールもよく見かけるのですが、何を持ってビジョンが合ってるなんて言うのでしょうか。経営陣ですら、真の意味でビジョンを共有するのは難しいのだ。
ビジョンを理解してくれることはいいことだが、Cレベル候補でない限り、下手にコメントしても地雷を踏むだけだろう。理念やビジョンについてのコメントは求めてません。志望度と同じく、まったく響かない薄っぺらい発言のように聞こえます。
経営陣は第一印象に厳しい
マナーとかはどうでもいいんですが、第一印象は大切だと思います。経営陣は誰よりも第一印象に気をつかっている人たちだから。そうでなくても、まわりは常に一流のビジネスパーソンばかりですから目が肥えてしまうんです。だから第一印象だけでいろいろわかっちゃう。
肌荒れとか髪のパサつきとか気になります。ネクタイが間違ってたら残念な気分になる。声が小さい人も印象悪い。
第一印象は大切。あまり気にしたことがない方は、できれば第三者にレビューしてもらった方がいいだろう。
カンペを読むな
次に大切なのは喋り方。カンペを読むような喋り方の人だと、「本音じゃないな」ってすぐわかります。それに、経営陣のまわりは話上手な人ばかりなので、話すのが下手っていうのは論外なんですよね。
でももちろん優秀だけど口下手な人や寡黙な人もいます。だから無理にベラベラ話す必要はないのですが、本音で話さないと魂には響かないです。
「わかりません」という勇気
最終面接では、さまざまなスキルを総合的にみる必要があります。難しい質問を投げかけたりします。そんなとき、正解はないのだが、「わかりません」と言えることが大切だと思う。「わかりません」と言える人は正直だし、結論から話す能力があり、自分を客観的にみれる人間だからだ。
逆に、「完全にわかる」「絶対にできる」「余裕です」といった発言があると私は必ず候補者を刺す。多くの場合、ただの自信過剰であり、ちょっと叩くとボロが出るものだ。そんなケースを何度も見ているせいか、「わかりません」と正直に言える人には好感を持てる。
示唆を与える
最終面接では、優秀な人が多く、提案的な話をしてくれる方も多い。貴重な意見なのでありがたく聞かせていただいているが、7割くらいの方は非常に浅い話をしているように感じる。
「お客様の真の課題を解決すべきだ」
「多様性のための取り組みが大切だ」
「デジタルを取り入れて効率化すべきだ」
すべて間違いではないものの、浅すぎて話が広がらない。威勢のいいことを言う割に役に立たない社員というのは、たいていこんなヤツらだ。それよりも、我々も気づいていないような意外な示唆を与えてくれる候補者に来てほしい。そういう人は即採用だ。
優秀な候補者が複数名いたら?
ヘッドカウントは1しかないのに、2名も優秀な人が来てしまった。。というありがたい悩みもゼロではない。どちらも違った強みと弱みがあって、判断を下しにくい。残念ながら、性別や年齢、既婚/未婚、現年収などで判断することもある。この判断はまちまちだ。アラサー女性はすぐ産休に入ってしまうなんて話はよくあるが、未婚の男は覚悟がないとか、20代の可能性に賭けたいとか、40過ぎて年収が低いやつはきっと仕事できないとか…経営陣ですら、このレベルの議論になってしまう。こんなときは運しかない。
確証できるか
最終面接を担当する人の一番のミッションは「変なやつを合格させないこと」だ。尖った人材は欲しいけど、入社後に盛大にやらかしてしまった場合、採用を担当した面接官たちは非常に気まずい思いをするものだ。
だからこそ、最終面接では「この人なら良さそう」という"感覚"をできるだけ"確証"に近いものにしなければならない。
例えば営業マンであれば、すでにコネがあって「必ずA社を受注できますよ」なんていう人が好ましい。
管理職になりたいか?
数年後どうしたいですか?という定番の質問があるが、最終面接では「管理職になりたいか?」と読み替えてもいいと思う。
というのも役員連中というのは「出世欲があるのが当たり前」と思ってるからだ。一生平社員でいたいような人間に対して興味を持たない。
だからといって「マネージャーくらいにはなりたいです」なんて回答はNG。視座が低すぎるし、役職しか見てない。そうではなく、大きなビジネスをしたいという野心が見れるとGOOD。自分の企画をかたちにしたい、そのために強いチームを作る、会社の売上を倍にする…そんな考えが話せるといい。「こいつは管理職候補だな」と思われるだろう。
逆質問というより議論をすべき
面接は一方的に質問するかたちになりやすい。だが経営陣は日々議論することが仕事だ。MBAホルダーやコンサル出身者も多い。そんな人間は意見を交わすことが自然なことだと思っている。一方的な質問が続くと、「こいつ話す気あるのか?」「自分の意見がないのか?」「つまらんな」と思ってしまう。
もっと自然に意見や疑問を交わすべきだ。
「私はこんな経験があります…御社の求める人物像と少し違うかもしれないと心配しているのですが、ぶっちゃけどう思われますか」と候補者から聞いてしまおう。
「先ほど XX に触れてらっしゃいましたが、興味あるので詳しく教えていただけますか?」なんてグイグイ聞いてもいい。
「今まで面接していただいた方、みなさんすごく優秀ですね。共通して、質問の投げ方がシャープだなと思いました」と意見を述べてもいい。自然と話は盛り上がるだろう。
面接官から「何か質問ありますか」と聞かれる前から聞きまくったほうがいい。合格する人はたいてい、そんな人物だ。
困ったら面接官用の本を読むといいです。
言い換え系の本はめちゃくちゃ勉強になります。