元軍人のTwitter CFO、アンソニー・ノトとは何者なのか

CFOとは何か

成功する企業の裏には必ずCFOがいる。

例えば、GoogleAppleは、節税やM&Aをはじめ高度なファイナンススキームを用いて高い利益を得ている。

商品が良ければ儲かる、という時代ではないのだ。営業マンやエンジニアも大切だが、私はもっとファイナンスも注目されるべきだと思う。

TwitterCFO、アンソニー・ノト

そこで、このブログでは凄腕のCFOを少しずつ紹介したい。

ということで今回はTwitterCFOアンソニー・ノトを紹介する!同社CFOに就任してまだ2年ほどだが、いま世界で一番注目されているCFOだ。

f:id:BestRgrds:20160606213500j:plain

アンソニー・ノト Anthony Noto

1968年生まれ。ウォートンスクールMBATwitterCFO

 

青年期を指揮官養成所で過ごしたCFO

ノト氏は根っからのファイナンスマニアではなかった。高校卒業後、進学したのは陸軍士官学校 通称"ウェストポイント"だった。日本人にはわかりにくいが、アメリカではエリート中のエリートとされる。

 

リーダー養成所で24時間鍛えあげる

士官学校は、世界を引っ張るリーダーを養成する場所だ。マッカーサーアイゼンハワーもウェストポイントの卒業生。

彼らは大学レベルの勉強しながら、24時間鍛錬に励まなければならない。留年は許されないし、娯楽も禁止。

f:id:BestRgrds:20160606202156j:plain

技術やスポーツも完璧にこなす

彼はウェストポイントでエンジニアリングを専攻し、第24歩兵師団にて通信・インターネット関連のミッションに従事していた。

さらにアメフトチームではラインバッカー(ディフェンス)としてスター選手になる。

もう意味不明の超人である。

この時点でCFOのイメージとは大きくかけ離れている。だが、すべての点と点はいずれ線になるのだった。

 

軍の戦略とビジネスの戦略をミックス

ウェストポイント卒業後、ノト氏は世界最大級の食品会社クラフトフーズ(現モンデリーズ)に入社。通信系を強みにマーケティングなどの仕事をし、ブランドマネージャーとなる。

ビジネスにのめり込む

ビジネスへの関心を深めたノト氏は、会社から車で1時間ほどのところにあるシカゴ大学ビジネススクールに通っていた。

その後、ビジネスにのめり込んだ彼は、ペンシルバニア大学ウォートンスクールに入学し、MBAを取得。

結果的に彼はスーパーマンすぎて、ぐちゃぐちゃなキャリアを築いていたのだった。

 

 

そしてゴールドマンサックスへ入社後、ファイナンスの世界に触れて彼の能力が目覚める。

さらなる成長を求め金融の世界へ

ゴールドマンでは、インターネットやメディア・通信業界を専門とした。彼はどんな金融マンよりも通信技術に詳しい。すぐにトップアナリストになり、経営戦略や財務アドバイスを行う。

ウェストポイントで鍛えウォートンで昇華した彼の能力は誰も止められなかった。

 

驚異的な出世スピード

1999年に入社して2003年にディレクター、2004年にはパートナーに昇格というスピード出世。このとき、まだ30代半ばである。

 

ウォール街の人間はシリコンバレーには疎いものだが、ノト氏のレポートは常に鋭いものだった。財務諸表だけでなく、技術を理解し、市場を読む能力に長けていたのだ。

それでも更なる挑戦を求め、彼はゴールドマンを卒業する。

全米を熱狂させるスポーツエンターテイメントの世界へ

f:id:BestRgrds:20160606202821j:plain

彼は2008年に世界最大のスポーツリーグ、NFLナショナルフットボールリーグ)のCFOとして招かれる。NFLといえばスーパーボウルで知られるように、全米を熱狂させるリーグだ。

ウェストポイント時代はフットボールの名選手だったし、彼以上の適任はいないだろう。

NFLでは、ファイナンス、戦略、レギュラトリーリポートを担当。

ビジネスとしてのスポーツ

精神論オラオラなスポーツ協会員とは違い、彼はスポーツをビジネスとして成功させた。チケットは常に売り切れ、テレビも高視聴率。

最近は日本でもオンラインチケットが普及してきたが、NFLはその先駆者として知られる。なんと、オンラインチケットは転売の仕組みまでオフィシャルにサポートされているのだ。

徹底的に利益を逃さないように作られたビジネスモデル。

彼は財務をベースにマーケティング戦略なども考え、新しいスポーツビジネスのモデルを作った。まさに参謀だ。

GSメディア専門部隊のトップに就任

そしてノト氏は再びゴールドマンにメディア・テレコムグループのヘッドとして招かれる。2013年にTwitterIPO案件を成功させたことから同社に引き抜かれ、2014年にCFO就任。

前半はここまで。次回はノト氏の辣腕ぶりがわかるTwitterIPOを振り返ってみよう!