英国EU離脱問題とは何だったのか

イギリスがEUを離脱するかどうかで国民投票を行っている。これは近年の「グローバル化」の流れに逆行するものだ。

なぜこんなことが起こったのだろうか。そして今後どうなるのだろうか。金融マンの視点から簡単に整理したい。

 

金融立国とEU経済

イギリス・EU問題における一番の焦点は「金融」である。

EUの中で共通通貨ユーロを採用していないのは3カ国だけであり、その中でもイギリスポンドはもっとも影響力を持つ通貨だというのが象徴的だ。


そもそも通貨以前にイギリスは金融立国であり、ロンドンの中心地にはシティと呼ばれる金融街がある。

そこには、ロンドン証券取引所イングランド銀行がある。そこはいわば聖域であり、エリザベス女王でさえ無許可で足を踏み入れることができない自治区だ。


かつてイタリアやオランダが商業で栄えていた頃、有価証券を転がすだけで稼いでいたのがシティの始まりだ。ブローカーたちのたまり場だった珈琲屋がいまのロンドン証券取引所となっている。


ここが世界のマネーを呼び寄せるイギリスの屋台骨なのだが、最近はバークレイズロイズなど名門銀行が不況に喘いでいる。

 

イギリスはEUの一匹狼であるとともに、肝心の金融事業が今苦境に立たされているのだ。

 

国民投票のいきさつ

そもそも国民投票に至った経緯をザックリ説明しよう。ざっくり。

 

以前からイギリスは独自の経済政策をとっていたわけだが、「EU離脱」は当時の首相、労働党のブレアが火種をつけたのだった。

「EU憲法に従うべきか国民投票で決めようぜ!!」

 

この問題提起はそんなに珍しいものではない。EU諸国においては、どの国でもEU加盟について国民投票が行われたのだから。ただ、このときは国民投票は実現しなかった。


そんなこんなでイギリスはEU加盟国でありながら特例を受けているという状態が、今日まで続いたのだった。


だがイギリスは相変わらず不景気だ。EUに足を引っ張られている感が否めない。

で、これじゃダメじゃね?かつてのイギリスを取り戻そう!という声が高まった。

そこで、じゃあ国民投票やっぞ!と公約をしたのが次の首相、保守党のキャメロンだった。そうして公約は実現したのだった。


ちなみに、かつて不景気を救った(?)と言われる鉄の女サッチャーも保守党。

だがいずれにせよ、どんな政党であれこうなったのだろう。

EUとの通貨統合なんてやってられるか!俺たちは金融立国だ!それがイギリス中の思いだった。

 

EU脱退しないという識者たちの予想

日本で言うなら大阪都構想みたいな感じだろうか。ふつうに考えたらありえない。盛り上がっちゃったら実現しちゃうかもしれないが…。


だからメディアはEU離脱なんてありえないだろうと報じつつ、投票日が近付くと「五分五分かも」などと言い出した。

それでも五分五分と言えど、離脱派の頭の悪いやつらは投票なんて行かないだろう、、とも言われた。金融機関もEU残留のシナリオを想定していると公言していた。


しかし識者のみなさんの読みは甘かった。弱い立場ほど大きい賭けに乗りやすい。熱気にやられると人は冷静な判断ができない。乗るしかない、このビッグウェーブに。

 

共同体思想のひとつのピリオド

グローバル時代といいつつ、イギリスが独立しようとした。米国ではトランプがフィーバー。「お手手つないでみんな仲良く、なんてやってられっかー!」そんな時代の訪れを感じる。


ちょっと話はずれるが、エヴァの最終回を思い出す。僕たちはひとつになれない。わかりあえない。

「気持ち悪い」

そうはっきりと声をあげはじめたのだと思う。グローバリズムの考え方が変容している。

投票前からイギリスの株・為替は急上昇した。メディアは「EU残留を期待したため」と報じたが、違う。少なくとも僕の知ってるトレーダーたちは、イギリスが独立し強いシティを取り戻すと考えていた。


確かに、EUを脱退しても景気が回復するとは言えない。貧困は拡大するかもしれない。しかし、金融街シティは復活するだろう。首相や王室さえ脱税する国。世界のカネが集まる、シティオブロンドン。

 

邦銀ロンドン支店―金融最前線の実像

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